学芸員という生き物について

博物館で生業を立ててる人のはなし。

民具と回想法について、の体験談

これは自分でもやってみたいと思っていたけれど、できなかったことのひとつ。

ちょうど10年近く前から各地の博物館で民具や昔の道具、おもちゃを使っての回想法事業が流行った。

福祉のための民俗学―回想法のススメ

福祉のための民俗学―回想法のススメ

 

 

驚きの介護民俗学 (シリーズ ケアをひらく)

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介護民俗学という希望: 「すまいるほーむ」の物語 (新潮文庫)

介護民俗学という希望: 「すまいるほーむ」の物語 (新潮文庫)

 

こういうの。ひとときのブームとして各地で見られたけど、今はどうなっているのだろう。

その流行にのっかって、当時の勤務館でもやってみようという安直な発想でやろうとしたら失敗したのね。

なぜか。

あれってトリガーとなるモノが重要なんだけど、それがなかなか見つからなかったから。

ブリキのおもちゃとかは「こんなの持ってるのお金持ちしかいなかったなあ」、洗濯板は「使ったことがない」とか。ビミョーにかすってるようでかすってないものが多くて、最終的に事業自体が頓挫しちゃったわけです。

これをもっと精度をあげていけば良かったんだろうけど、学芸員一人の体制で企画展45つ開催しなきゃならない状態であったから、そういうことなかなかできず。中途半端なままで終わってしまったというわけ。

あの問題をもっと掘り下げていったら面白いことが分かったかもしれないのになー今からそれができるのであればやりたいと思うんだけどちょっと難しい。わたし一人ではどうにもならないし、館の他のスタッフは余計な仕事増やさんでくれ、ていうオーラでてるし。

 

どうしようもないから泣いてる。