学芸員という生き物について

博物館で生業を立ててる人のはなし。

落ち着きのある日々が欲しい

それにしても、こう毎日いろいろと動きがあるのはしんどいものがある。落ち着いて作業をしたいが、なかなかそういうのは難しい。

明日は明日で業者の人が午後から来るから2時間ほど潰れる予定。その後は中学生の相手をする。動けるのは午前中だけになりそうだけど、その午前中すら各方面へのメールやら何やらで埋まってしまいそう。

まいった。

 

そもそも、何がボトルネックになっているのか。

 

おそらく私の処理能力が追いついていないのに加えて、ペース配分を考えないで仕事を持ってきているという、二重・三重になってしまっているところなのだろう。とはいっても、上からの仕事割り振りでこうなってるんだからどうしようもない部分もあるわけで。

せめて仕事分担とかそういうのが出来ればいいんだけど…

 

ああ…博物館にいるのに博物館のお仕事を楽しめずにいるのはつらいよ。ほんと。

 

 

民具と回想法について、の体験談

これは自分でもやってみたいと思っていたけれど、できなかったことのひとつ。

ちょうど10年近く前から各地の博物館で民具や昔の道具、おもちゃを使っての回想法事業が流行った。

福祉のための民俗学―回想法のススメ

福祉のための民俗学―回想法のススメ

 

 

驚きの介護民俗学 (シリーズ ケアをひらく)

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介護民俗学という希望: 「すまいるほーむ」の物語 (新潮文庫)

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こういうの。ひとときのブームとして各地で見られたけど、今はどうなっているのだろう。

その流行にのっかって、当時の勤務館でもやってみようという安直な発想でやろうとしたら失敗したのね。

なぜか。

あれってトリガーとなるモノが重要なんだけど、それがなかなか見つからなかったから。

ブリキのおもちゃとかは「こんなの持ってるのお金持ちしかいなかったなあ」、洗濯板は「使ったことがない」とか。ビミョーにかすってるようでかすってないものが多くて、最終的に事業自体が頓挫しちゃったわけです。

これをもっと精度をあげていけば良かったんだろうけど、学芸員一人の体制で企画展45つ開催しなきゃならない状態であったから、そういうことなかなかできず。中途半端なままで終わってしまったというわけ。

あの問題をもっと掘り下げていったら面白いことが分かったかもしれないのになー今からそれができるのであればやりたいと思うんだけどちょっと難しい。わたし一人ではどうにもならないし、館の他のスタッフは余計な仕事増やさんでくれ、ていうオーラでてるし。

 

どうしようもないから泣いてる。

トライやるって皆何させてるんだろう?

トライやるウィークが今年もやってくる。しかも2回目。近隣自治体の中学生も受け入れなけりゃならないのだ。

トライやるウィークとは?

詳細についてはWikipediaが詳しい。

トライやる・ウィーク - Wikipedia

あとは文科省のページかな。

地域に学ぶ中学生・体験活動週間「トライやる・ウィーク」:文部科学省

兵庫県の教育委員会の解説。

兵庫県教育委員会義務教育課(トライやるウィーク)

要するに、1995年の阪神大震災、1997年に起きた酒鬼薔薇事件が発端で、中学生に働く場を見せて勉強させよう、心の教育をしよう、というのが主旨。

しかしながら、開始から20年が経ち、いろいろと問題点もあるのが実情。

神戸新聞NEXT|総合|「トライやる」20年 薄れる原点 中学生職場体験

この神戸新聞の記事が綺麗にまとまっていると思う。

感じていること・問題だなと思っていること

仕事量2倍になる

結果的に、抱えている仕事と中学生の面倒を見るのを同時に行わなくてはならず、仕事が2倍になる。しかも期間長いからしんどいのである。

職場全体で取り組めればいいのだけど、なぜかわたし一人にその仕事が集中してくる。カリキュラムの作成から各部署との折衝まで作り込んで、いざ当日やってみると中学生から「これ面白くな〜い」とか言われたりする。たまにそういうことを平気で言う子がいるからなおさらガクッとくる。

担当教諭からは「ぜひ怒ってやってください」と言われてるけど、なんであんたたちの指導が行き届いてない生徒をこちらが指導してやらなきゃならないのだ、なんてことまで考えてしまう。

そのくらい追い詰められる。

理念と実態がかけ離れすぎている

職場体験学習ではないと兵庫県は言っているけど、実際には職場体験学習だよな。心の教育がどうこうと言ってるけど、そういうコト考えてる事業者はほぼほぼいなくて、むしろ戦力として活用するか、何やらせようか分からないからとりあえず雑用やってもらうとか、そういうのが大半なんじゃないかと思う。

心の教育って何をどうしたらいいのか。全く分からずにいる。

そもそも学芸員がどういう仕事かあまり知られていない

スーパーとか、そういう表に出ることもある仕事はまだしも、学芸員なんかほとんど裏方に徹する、あまり花のない仕事だ。だいたい一人でできるような仕事・作業ばかりだし…そう考えると実際問題何やってもらおうかでいつもすごく悩む。悩むを通り越してもうわけわかんない。

やってくる中学生たちは、仕事=目につくもの、しか想像できないだろうし知らないだろうから、学芸員なんていう仕事を説明しても「???」っていう顔をするんだよね。割とあからさまな感じでそういう反応されると、こちらとしてもどうしたらいいか分からなくなるし、何より教師自体が学芸員を知らないからトライやる中にやってきては「もっと絵になるような仕事ってないですかね??」とか聞いてくる。生徒たちの写真撮って文集とかに使うんだろうけど、そういう言い方はねえだろ。悪かったねえ地味な仕事で。

よその館のカリキュラムを知りたい

とか思ってても始まらないから、よその館が何しているのかを勉強したい。普段からちゃんとした博物館活動ができているのであればまだしも、ウチみたいに何かしらバタバタしているようなところは少ないだろうから余計気になっている。

皆、何させているんだろうか。特に博物館美術館関係。実際に見ることができれば、いろいろ良い部分を吸収して反映したい。なお、今年は例年通り接客から何からをやってもらう予定。真面目そうな子たちばかりだったから、毎回サクサクと予定していたカリキュラムが消化されていって、あっという間に「次は何をさせたらいいか…」という事態になる。これで「仕事って案外簡単ねー」と思われるのも嫌だけど。

とにかく、何をさせているか情報が欲しい。現状、あまりにも情報が少なすぎる。

「トライやる・ウイーク」で子供が変わる (21世紀型授業づくり)

「トライやる・ウイーク」で子供が変わる (21世紀型授業づくり)

 

 …子供確かに3日目あたりから変わるけど、変わらない子は最後まで変わらないんだよなあ…それでいいのかな。

映像の勉強をしたいと思う今日この頃

仕事でも動画編集するようになって、ああもっと勉強しないとダメだなとすごく反省中。

カット割りとかそういうのもだけど、何をどうしたらいいのかという最低限度の考え方もよく分かってない。ただ漫然と「撮影しました」的映像ソースになっているので、その後の編集に非常に苦労する。

まさに「あのときああしていれば」という後悔だ。特に祭礼調査の記録とか、抑えておくべきポイントを事前に把握しておかないと撮れずに終わってしまうことも多い。

編集力も大事で、どのカットをどこに用いるのかとか、場面と場面の繋ぎをどうするかとか。そういう部分全くダメでわかんない。

思えば小学6年の時に学校のグループワークっていうの?そういうやつで作った映像も非常に悲惨だったな。いろんな意味で。

恐怖動画を作ろう、みたいなことをわたしたちのグループでやったんだよ。「理科室の骸骨模型が勝手に動いた瞬間を撮影!」という、まあ小学生が考える恐怖の動画といったらこの程度の代物だ。撮影係はわたし、他のグループメンバー3人が驚く人とか骨を動かす人という具合に決めたんだけど、当日は行き当たりばったりな進行になった上に、オフショットまで偶然撮影してしまった。骨を運んだり「早く!早く!」といいながら次の場所に移動する驚く人役の子とか、そういう見せちゃいけない部分まで撮っちゃった。

それらは編集の際にカットすればいいのに、担任がそのオフショット部分までそのままで繋いでしまったためにすこぶるおかしな映像ができあがってしまった、というわけだ。学級内での映写会ではクラス全員から失笑を買うし、グループ内の雰囲気最悪になるし、という散々な思い出がある。あれダビングして児童一人ひとりに持たせてた気がするけど、今実家にあるだろうか…もうVHSの再生機無いだろうし、ビデオテープも引越の際に全部捨てたとか言ってたから望は薄いな。

そのころから成長していない。こりゃ勉強する必要ありまくりだな。写真に比べて動画関係って意外とノウハウの書籍とかそういうの見かけない気がする。やっぱり難しいのかな。映画を撮るわけじゃないけど、映像撮影の基礎基本と編集作業の基礎基本を勉強したいなあ。

映像の原則 改訂版 (キネマ旬報ムック)

映像の原則 改訂版 (キネマ旬報ムック)

 

…御大も映像の人だよなそういえば。これ理論というかそういう方面なのかな。今度読んでみるか。

仕事パスしようと思ったのに

結局自分のところに返ってくるというね。

 

なんでかわからないけど、とにかくそういう風にできているようでつらい。

協力とかいう言葉がないから余計に。自分一人で抱えてしまう結果になりがちで、「ほうれんそう」とか「れんそうほう」とかそういうのがしにくい。

なのであとからあとから問題になってしまう。

それを避けるためにいろいろ取り組みたいんだけど、そういう暇もないし。

どうなんだろうね、どうなるんだろうねこれ。

 

今抱えてる案件は4つ。これ解消するのにどのくらい時間かかるんだろうか。

しんどいなあ。まったくもって。

 

はっ!いけないいけない!非生産的な議論に陥りかけてたわ!!!もっと楽しいこと考えなきゃ!!!(白目

すでに次年度の仕事が始まっている件について

もうね、どうしたらいいか自分でもよくわかんないよね。
なんでこんなに立て込んでるんだろうって思うよ、いやほんとに。

来年度は下手したら大きな展示3本を担当しなければならないっぽい雰囲気が出てきていて、すごく嫌な予感ばかりしている。

自分の体力と気力が持つのかどうかすら怪しいのに。

そしてここにきて気候の変化に伴うメンタルのアレが荒れててつらい。

先週なんか担当講座終わってから雪崩を打ってダメになって動けなくなったからね。

「なんで自分ばっかり」っていう感情もだけど、それに対応できない自分はなんてダメなんだろう、みたいな感じ。

一度マイナスになったら回復するのに時間かかるんだよねえ…こうやって書くのはなんとかできるけど、それ以外の対応が全然できなくなる。メールとか電話とかガンガン来てるけど返せない・出られない。

毎年10月がそんな感じだなあ、振り返ってみれば。

そういう時に限って大変な仕事が割り当てられててしんどくなる。

愚痴っててもしょうがないってのはあるんだけど、とにかく何もしないでいいって誰かに言ってもらいたい。

 

今はそういう気持ちでいっぱい。